うつ病の新しい治療法についての本

今日は、うつ病の新しい治療法についての本を紹介したいと思います。

 この本は、「The Depression Cure: The 6-Step Program to Beat Depression Without Drugs」という題名で、日本語で言うと、「うつ病からの脱出:薬なしでうつ病を克服する6段階のプログラム」とでもいったところでしょうか。著者は、Stephen Ilardiというアメリカのカンザス大学の准教授です。
 TLC(セラピューティック・ライフスタイル・チェンジ)と呼ばれているこのアプローチは、6つの方法によって、うつ病を治そうというもので、それらは、①オメガ3という脂肪酸の摂取、②活動すること、③運動、④日光を浴びること、⑤社会的支持、⑥睡眠です。TLCの概要はこのホームページにも出ています。
 より具体的には、①のオメガ3という脂肪酸は、魚の油から取得することができ、著者によれば、1日当たり、1000mgのEPAと最低500mgのDHAを組み合わせたサプリメントを取得し、更に、オメガ3の酸化を防ぐために、マルチビタミンと500mgのビタミンCの取得も勧めています。更に、週に1度、500mgの月見草油を取得することを勧めています(GLAという必須脂肪酸を取得するためだそうです)。
 ②については、うつ病の人は、ruminationと呼ばれるような思考の反復が生じ、それが憂うつを引き起こしているので、そうした思考に気付き、意識を思考から別の活動へとシフトさせるためのアドバイスをしています。
 ③の運動は、35~40分の有酸素運動を週に3~4回行うことを著者は勧めています。④は、1日あたり30分日光(あるいは専用の器具の光)を浴びること(あるいは、ビタミンDのサプリメントを摂取すること)を著者は勧めています。⑤では、家族や友人とのつながりを増やすことの重要性とそのためのいくつかの活動が取り上げられています。⑥では、睡眠を奪われることがうつ病のリスクファクターであると指摘し、いくつかのアドバイスがなされています。
 なお、著者は、TLCを始めるにあたって、医者と相談することを勧めています。

 以下は私の感想です。この本は現在のところ日本語訳がありません。1日も早く日本語版が出版されることを期待したいと思います。この本はとてもわかりやすく書かれており、実行しやすいアドバイスが多いです。
 また、個別には、私はオメガ3とビタミンDの記述に特に関心があります。オメガ3のうつ病への効果については、既にいろいろと研究がなされているようですが、まだ決定的な結果が出ているわけではないようです。ただ、日本でも、近年1人当たりの魚介類の消費量が減少傾向にあり、その一方でうつ病の人は増えているので、もしかしたら、魚介類の消費の減少がうつ病の増加に関係があるのかもしれません。フィッシュオイルの摂取や魚を食べることが本当にうつ病の治療や予防につながるのであれば、これは朗報ですので、政府がこうした研究に予算を出して、速やかに効果の検証をすることが望まれます。同様に、ビタミンDのサプリメントの摂取がうつを軽減できるのであれば、これも朗報であり、これについても、政府が研究予算を出してでも、効果を検証して欲しいと思います。
 残念ながら、TLCの効果を医学的に厳密に検証した研究はまだないようなので、現時点では、TLCは、うつ病の代替療法ということになるのかもしれません。ただし、TLCの6つの方法のいくつかについては、既に研究があります。たとえば、運動についてはうつを軽減する効果が研究でも認められていますし、オメガ3やビタミンDについても、決定的ではないとは言え、うつを軽減する効果があるという研究が出ています。ぜひとも、TLC全体についても、効果を検証するための研究が速やかに行われて、本当に効果があるのであれば、日本でも広まっていくと望ましいと思います。

この記事へのコメント

Mamigon
2015年04月27日 23:01
この本の日本語訳はまだ出ていないでしょうか。
Yoichi
2015年04月28日 22:50
残念ながらまだ日本語版はないようです。